妻の母親を在宅介護している僕達。
今年で13年目になる。
(詳しい話はカテゴリーの介護欄に綴っていますので、ご興味のある方は是非覗いてみて下さいm(_ _)m)
結婚と同時にほぼ介護生活もスタートしたのでずっと介護中心の結婚生活。
今ではだいぶ在宅介護の環境も整い自分たちの時間も持てるようになったが、最初の頃は介護の事が何も分からず二人とも無我夢中で毎日を過ごすのがやっとの状態だった。
当時は2人で買い物や外出することが全く出来なく、どちらかが義母の横に付き添う毎日。
そんな在宅介護を始めてから7~8年後ぐらいに、我が家に入ってくれるヘルパーさんやら看護師やさんらが少しずつ増え始め、とうとう念願だった旅行に行ける環境に。
この時はとても感動した記憶があり、各スタッフに感謝の気持ちでいっぱいだった。(もちろん今でもそうですが。)
旅行といってもスタッフのスケジュール調整の問題で1泊旅行だが、普段から2人で出かけることもままならない僕達にとっては、ハネムーンのような気分だった。
行き先は鎌倉に決めた。
場所は近いし船橋から電車1本で行けるし、何かあったらすぐに飛んで帰ってこれる距離という理由からだ。
今でもこの1泊2日の旅行は鮮明に覚えている。
その後も毎年旅行に行けるようになったが、在宅介護をやり始めてから苦しい時期を乗り越えての初めての夫婦旅行。
まるで鳥籠の中から外の世界へ飛び出すような気持ちだったのだ。
そんな鎌倉旅行は向かう電車の中からテンション上がりまくりだった。
初日はお寺巡りをしようということになり、レンタサイクルを借りた。あちらこちらの神社をスイスイ周り5〜6箇所いっただろうか。
中には長い階段があり何段も上がったり下りたり自転車の距離も含めて、かなりの運動量だったと思う。
それでもいろんな神社に行くことはとても新鮮で楽しかった。
そんな初日を過ごし、夕食は美味しいものを食べ心も体も満たされてクタクタの身体で床についた。
次の日の朝、その事件は起きたのだ。
目覚ましとともにスッキリと起きた僕は妻に向かい
「ぐっすり眠れたぁ〜〜昨日結構疲れたもんね?」
と聞くと、凄い形相で僕を睨んでいるではないか!!
「どうした?なんかあった??」
と聞くと
「全く寝れなかった!!あんたのせいで寝れなかったよ!!!」
と発狂してきたのである。
突然のことでビックリ。
何があったのか聞いてみると、どうやら夜中に僕が脚をあげてはベットのマットレスにボンボン叩きつけていたらしい。
その時に予約したホテルはダブルベットだったので、マットレスに叩きつける僕の脚でボンボン妻へ振動が伝わり全く寝れなかったとのこと。
多分、昨日の自転車と神社巡りや階段の上り下りで、かなりの運動量だったので脚がだるくなり、そんな行動を寝ながらしていたのだと思う。
僕は全く無意識にやっていたのであっけにとられた。
そしてワァ〜ワァ〜怒鳴ってくる妻のこの言葉に絶句したのである。
「1番楽しみにしてたのに〜〜〜💢!!」
・・・?
1番楽しみ!?
旅行で寝ることを1番楽しみにしていた??
その言葉を聞いた僕はとてもビックリした。
衝撃だった。
旅行で1番の楽しみが寝ること・・・。
今では笑い話になるが、よく考えるとその当時の妻の気持ちは理解できた。
普段在宅介護をやっていて、まともに睡眠をとったことがなかったのである。常に義母の横にいる状態で寝る時も並んで寝ていた。
喀痰吸引が必要なため夜中でも痰が上がってきたら吸引をしなければならない。僕も夜中などは時々交代で看ていたが、さすがに平日は仕事があったので夜中の吸引は7〜8割ぐらいは妻がやっていた。
そんな介護生活を送っていた妻。
初めての旅行では少しの時間とはいえ介護から解放された状態である。それも寝ることも何にも邪魔されず、100%睡眠に集中できるのである。
大抵の人は旅行に行って寝るのを1番楽しみにする人はほぼいないと思うが、普段から睡眠不足の妻は特に睡眠に強い想いを持っていた。
さすがに僕もここまでだったとは!!と思ったが普段からかなりのストレスがあったのだろう。
この後、妻の機嫌が直るまでは半日ほどかかったが、今思い出しても「ビックリ」かつ「切ない」かつ「笑える」話である。
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