僕は要介護5の義母を在宅介護して12年になります。
それまで『介護』とは全く無縁の人生でした。
全く携わった事のない僕は『介護』に対してのイメージは今考えると、とにかく酷いものでした。
・老人の世話
・きつい
・汚い
等のイメージを持っていました。
確かに間違ってはいませんが、介護をやる側にとっては自分の大事な家族です。そんな人の気持ちまで知らなかった僕はまだまだ未熟だったと思います。
その当時はまだ独身で自分の事だけしか考えられない、とても自由奔放な生活をしていたからかもしれません。
もちろん中には独身でも立派に人の気持ちを考えられる人はいます。今僕の家に来てもらっている介護ヘルパーさんにも、頭の下がるような優しい方が何人かいます。
本当にこういう方を見ると介護を受ける家族としてはとても頼もしくありがたい存在でもあります。
そんな人と打って変わって『介護』と出会うまでの僕は、まさに血も涙もない人間に見えて、とても恥ずかしい人間だったと思います。
そんな僕でも自分で言うのもなんですが、変わった事があります。

それは電車に乗っている時に、座席に座っている僕の前に年配の方等が立っていたら、すぐに譲るようになりました。
この前も朝の通勤時に僕は座って新聞を読んでいて気付かなかったのですが、たまたま前に立っている人の胸に「おなかの中に赤ちゃんがいます」のバッジがしてあるのが目に入りすぐに譲りました。
本当に気付かなかったのですが「すぐに気付かなくてすみません」と誤ったくらいです。
また以前に、電車の乗換時に階段を下っている時のこと、年配のおばあちゃん(80歳代!?)が息子らしき人(50歳代!?)に手と腰を支えられながら、1歩ずつ階段をゆっくり下りていました。
僕はその時も見た瞬間、すかさず走っていき「お手伝いしますよ!」と声をかけました。
これらの行動は常識的に当たり前と言われれば当たり前ですが、以前の僕からは信じられない程の行動の変化なのです。
それもそれらの姿を見てとっさに行動する自分がいる。
これらの行動や気持ちは僕自身が『介護』を通して変われた良い部分です。
『相手の気持ちになって考えられなかった過去の自分が、相手の気持ちを少しは考えられるようになった』
自らの『介護』経験を通じ教えられた事です。
恥ずかしながらやっと一般の人の感覚になれたわけです。
要介護5の義母に逢っていなければ、未だに人の気持ちを分かる人間にはなっていなかったと思います。
恐ろしい事です。
要介護5の状態になっても、僕に色々教えてくれる義母には頭が上がりません。
ありがとう!
お義母さん!!
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